2016年3月30日水曜日

とある子どもの追憶と巣立ち Home is Where One Starts...

遊び終えた後もその印象が淡い記憶として残り、残り香のように永く頭から消えないタイプのゲームがある。Home is Where One Starts... は私にとってはそういった類のゲームだった。遊んだのは幾月前のことだろうか。そうだ、私がアルコール依存症の通院を始めるより前のことだから、おそらく3,4ヶ月ほど前のことだ。これがきっかけ、というわけではないのだが、ともあれ私は(少なくともアル中の一症状に関しては)一応ながら立ち直る方向に歩むことになった一方で、主人公の父親が救われることは永遠にないのだろう。

話を戻そう。Home is Where One Starts... は箱庭探索タイプのアドベンチャーゲームだ。舞台は主人公の故郷である米国南部のトレーラーハウスとその周辺。主観視点で主人公を操り、主人公の思い出が残るロケーションをその目で見てまわることで物語が展開していく。派手な展開などは一切なく、ただ主人公が一人でその地にまつわる思い出を語るだけである。作品紹介で言及されているとおり Gone Home フォロワーとしての性格が強く、アドベンチャーゲームとして小さくも美しい世界を作ることに成功している。


他方でその物語は大きく違う。Gone Home は二人の少女が希望をいだいて旅立つ過程をあくまで他者の視点から追体験する物語であったのに対し、Home is Where One Starts... はそれとは対称的に、一人の女性が自分自身の子ども時代の絶望と向き合い、大人として巣立つ過程を描いている。あなたはプレイヤーとして彼女自身の視点から、アルコール依存症の父によって引き裂かれたみずからの過去と向き合わねばならない。全体としては重い話だが、美しい風景の舞台を歩きまわらされることで、ゲームを通して清涼感を感じられる。そして『故郷は始まりの地』というテーマのとおり、過去から解放され、新たな人生を歩み始める彼女を象徴する美しいシーンでゲームは終わる。
なかにはインタラクト可能なオブジェクトもあり、これも物語に味わいを与えている
ゲーム自体は1時間足らずで完結し、意地の悪い人から「ウォーキングシミュレーター」などと揶揄されることもあるが、ここには確かなひとつの物語があり、感動的な体験がある。Gone Home などについてもいわれる「インタラクティブな映像作品」といった評も、個人的にはあまり支持しない。なぜならインタラクティブな時点でこれは立派なゲームであり、ゲームでなければ得られない体験というものが両作ともに確かに存在しているからだ。

Gone Home が定価1980円というプレイ時間に比して高めの値段で物議をかもした(個人的にはそのクオリティから全く正当な値付けだと考えるものだが)のとこれまた対称的に、Home is Where One Starts... は298円という驚きの安値で販売されているのだが、それがなんと今なら8割引の59円である(次のセールをお待ちください)。必要な方に向け、また個人的な楽しみとして、日本語字幕も当方で用意した。小さな佳作として個人的に一押しのこの作品。この機会にぜひ多くの方に体験していただきたい。

Home is Where One Starts... ¥298
システム要件
最低:
OS: Windows XP+
プロセッサー: Intel i3 or equivalent
メモリー: 4 GB RAM
グラフィック: DX 9.0c video card with 256 MB VRAM and shader model 3.0 support
DirectX: Version 9.0c
ストレージ: 600 MB 利用可能
推奨:
OS: Windows 7
プロセッサー: Intel i5, 2.8+ GHz
メモリー: 4 GB RAM
グラフィック: NVIDIA GTX 570, AMD Radeon 6870, or equivalent
DirectX: Version 10
ストレージ: 600 MB 利用可能
追記事項: Only Oculus SDK 0.4.4 supported currently
Home is Where One Starts... 日本語字幕mod

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